平成二十七年は大本山総持寺二祖峨山韶碩禅師(がさんじょうせきぜんじ)の六百五十回大遠忌になります。相承とは、仏様の教えを師から弟子へと絶えることなく受け継ぎ伝えてゆくことです。瑩山禅師より仏様の教えを受け継いだ峨山禅師は二十五哲と呼ばれ弟子をはじめ多くの門弟を育成し、その門弟たちがそのお教えを全国に広めて、今の曹洞宗一万五千の寺院からなる宗門の基礎を築かれました。それこそ相承となり、仏様のお教えが今の私たちに受け継がれているのです。その功績に感謝して峨山禅師の六百五十回大遠忌を迎えたいと思います。
当山得聚山長福寺も本年平成二十七年は曹洞宗になってから三百八十年となります。五月三十一日に開創五百年、曹洞宗改宗三百八十年の記念法要を先代長福寺二十六世重興明峰正春大和尚三回忌法要と併せて執り行います。
近頃TVを見ているとき、あるコメンテターが、現在の家族の在り方が変わってきたと言っていました。確かに現代社会において仕事やいろいろな生活環境の変化から、核家族が増え、昔のような大家族がなくなり、三世代四世代で同居しているという家族は減ってきているのも事実です。でも、親がいなければこの世に生を受けることもなく、誰かと一緒にならなければ子を成すこともできません。住む環境が変化しているだけで、家族の在り方には何の変化もないのです。今の現代人は私を含めて何か事を成したとき、たとえば希望する学校に合格したとか、仕事でうまくいった時とかです。あたかも自分の力ですべてを成し遂げたように考えがちです。確かに本人の努力は必然ですが、周りの人たちのいろんな支えがあってこそです、ましてや、自分でこの世に生を受けようと思って生まれた者など誰一人としていないのにです。人は生きていくうえでいろんな人に助けられ、またこの世界の自然の恵みとでも言いますか、万物の支えもかりて生きているのです。万物すべてに感謝して生活しろとは言いませんが、どんなに家族の生活環境が変わろうとも、自分を支えてくれた人や、この世に生を受けるご縁を戴いた親やその親にあたる祖先に感謝の気持ちは忘れずにしなければいけません。今年の当山の記念法要もここに至るまでの長福寺の歴代住持と檀信徒の皆様その祖先の方々のご縁に感謝して記念法要を厳修したいと思います。